逃げ道がみつからない①
私は、入社2年目の平社員でしたが、
他の同期と比べて沢山の仕事を抱えていました。
その中には、本来上司がすべき仕事もありました。
その上、〆切日直前に上司がすっかり忘れていた仕事を任され、
突発的に仕事が増える事もザラで、
私は全社的にみてかなりの残業をしていました。
上司はカミングアウト済みの鬱病でした。
社内会議の内容は覚えてないし、
対取引先会議の持ち場箇所のスライドは色々理由付けて作らず
部下に押し付けるし、当日休むし……。
急に長期休暇を取って暫く来ない時もありましたし、
職場に来てもしょっちゅう煙草を吸いに行って、戻ってきたと思ったら
無駄にホウレンソウを要求するメールを送ってきて、又煙草を吸いに行って――
結局仕事が進まず定時で帰る、なんて日も多々ありました。
正直、仕事の難易度とか量とか、そういう問題関係なく、
上司は真っ当に仕事を遂行できない状態でした。
でも「鬱病」であるが故に、上司の問題行為が周知されていても、
上長は下手に説得することが出来ない状況にありました。
人事だって、きっと知っていたはず。だけど、何もしてくれませんでした。
……又、他の古株社員や上長にはその一面を見せたことは無かったけれど、
上司には攻撃的な一面がありました。
だから、私はこうした環境の中で、日々沢山のストレスを抱えていました。
でも、初めは私も元気でした。
上司のいない所で愚痴を言って、モヤモヤを発散する元気は残っていたし、
「愚痴を言っていても始まらない」と、周囲に相談して状況を変えてやろうと思う気力もありました。
しかし、会社という場所がどういう場所なのか、
はっきりわかるようになるにつれて、
自分に逃げ道がないという事を理解し、
私は、徐々に精神を病んでいきました。